給与ファクタリングとは
まずはじめに…
給料ファクタリングは絶対に利用してはなりません!
早期に現金を得られるものの、専門業者(ファクタリング会社)に莫大な手数料を支払わねばならず、闇金から借りるのと同義であるためです。
どのような仕組みなのか、その危険性や利用した際のデメリット等についてまずは確認していきましょう。
そもそもファクタリングって何?
ファクタリング(factoring)とは、簡単に言うと「債権の売買」です。
例えば、企業間取引では商品仕入やサービス提供の度にお金を支払うということはせず、月末などにその月(又は前月)の代金をまとめて支払います。
つまり、サービスを提供した企業はされた企業に対してお金を受ける権利を有していることになります。
これを「債権」といい、売掛金や未収金と呼ばれるものが代表例として挙げられます。
つまり、給与又は給料ファクタリングは「賃金を受け取る権利を専門業者に売却する」という金融取引なのです。
ファクタリングのメリット
ファクタリングのメリットはなんと言ってもそのスピードにあります。
企業の資金調達では「銀行融資」がメジャーですが、相談から審査終了までに数か月を要してしまうことも珍しくありませんでした。
また、少しでも業績が下向きだと銀行はお金を貸してくれず(所謂貸し渋り)、時間だけを浪費し結局調達できなかったといったケースも多々存在します。
ファクタリングは「売買契約」になるため、金銭消費貸借契約とはそもそも法的な性質が異なり、どのような債権なのか・企業の信頼性はどうか等をメインに審査されます。
即ち、審査項目はほとんどなく、前もって書類を用意しておけば即日現金が手に入る可能性も十分に考えられるのです。
ファクタリングのデメリット
ファクタリングには額面の5~20%ほどの手数料が掛かりますので、慢性的に利用してしまうと利益を大きく損ねる可能性があります。
そして、これは給与ファクタリングにも全く同じことが言えます。
給与ファクタリングでは20~30%の手数料が相場ですので、例えば給与額が30万円であったと仮定すると、手取り額が21~24万円まで下がってしまう計算です。
当然これが毎月続けば家計はどんどんと圧迫されてしまい、慢性的な金欠状態に陥ってしまう危険性を高めます。
給与ファクタリングの流行と終焉
給与ファクタリングは2019年の終わりごろから2020年の前半に掛けて台頭しました。
なぜ急にこのような取引が多く見られるようになったのでしょうか。
給与ファクタリングを専門に取り扱う会社が増加した経緯やその終焉までについて解説していきたいと思います。
ファクタリングは許可が不要
まず消費者金融とファクタリング会社の違いを考えてみましょう。
消費者金融
人にお金を貸すことによって利益を得ているため「貸金業者」に該当し、金融庁から営業許可(貸金業登録)を受けなければなりません。
ファクタリング
売買取引に当たりますので、貸金業のような特別な許可を得る必要がなく、誰でも簡単に開業することができてしまいます。
この違いに目を付けたのが闇金業者です。
元々許可を取っていない闇金業者が「ファクタリング」を都合良く解釈し、給与ファクタリングというシステムを編み出したのです。
前述した通りファクタリング会社の運営には許認可等がいりませんので、闇金業者達はファクタリングと称して堂々とお金を貸し、違法金利以上の営利を得ることになります。
金融庁が見解を発表
一連の騒動を受けて、金融庁は令和2年3月5日に法令解釈に関する考えを示しました。(法令解釈に関する照会に対する回答)
要点をまとめますと、以下の通りです。
要点①
「直接払いの原則(労働基準法第24条)」により譲受人(ファクタリング会社)は雇用者に対して賃金を請求することは出来ない。
要点②
経済的に貸付けと同様の機能を有しているものと考えられる。
つまり、給与を仮に譲渡したとしても譲渡された側は支払う側に対して請求することが出来ず、ファクタリング会社側は利用者に対して直接請求するしかありません。
これは客観的にみると金銭消費貸借契約(直接金銭をやりとりせざるを得ない)と同じスキームであり「給与ファクタリングを行うには貸金業の許可が必要」という判断でした。
参考URL:金融庁公式HP「消費者金融等について」
https://www.fsa.go.jp/ordinary/chuui/kinyu_chuui2.html
裁判でも違法と判断
給料ファクタリングの違法性を巡っては、金融庁に続いて裁判でも
債権譲渡代金の交付は、手形の割引や売渡担保による金銭の交付であり、貸金業法や出資法にいう貸付けに該当する。
と判断されました。
また、ファクタリング会社が得た手数料を金利に直すとなんと「年1840%を超える利息」となり、ファクタリング取引そのものも無効との判断を下します。
さらに、同金利での取引は出資法にも違反するため刑事罰の対象となる可能性があることにも言及し、給与ファクタリングを謳う業者は蜘蛛の子を散らすにいなくなったのです。
なお、以下のサイトでは給料ファクタリングが広まった経緯や法的解釈について分かりやすく紹介しておりますので、さらに深く知りたい方は是非チェックしてみてください。
参考URL(外部サイト)
給料ファクタリング
今も営業を続ける違法業者
今や給与ファクタリング業者を見かけることはほぼ無くなりました。
しかしながら、同取引が一定の人達(ブラック等)から需要があったのもまた事実であり、今もひっそりと営業を続ける業者も存在しています。
もし見かけたとしたら、その業者は立派な「闇金業者」です。
お金に困っていたとしても絶対に利用せず、必ず公的融資や正規の消費者金融を利用するようにしてください。